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ウイルス性出血熱の種類一覧


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ウイルス性出血熱の種類一覧の概要

出血熱とは様々なウイルスの感染により粘膜・内臓・口腔内・皮下などから出血を起こす病気の総称です。

比較的致死率が高いものが多く、出血以外の症状には高熱、内臓の不全、下痢、嘔吐、 神経麻痺、精神の変調などがあり、後遺症が残るものも多くあります。

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ウイルス性出血熱の種類一覧
名称 説明
エボラ出血熱 Ebola hemorrhagic fever

エボラ出血熱とは出血熱の一つで、フィロウイルス科エボラウイルス属のウイルスにより引き起こされる急性ウイルス性感染症です。
『エボラウイルス病』とも呼ばれています。

エボラ出血熱は1976年6月に現在の南スーダンのヌザラという町で発見され、 最初に感染した男性の出身地付近のザイールのエボラ川から名前が取られました。

エボラ出血熱の特徴には7日前後の潜伏期間とその後に、高熱、頭痛、嘔吐、下痢などを引き起こし、 病状が進行すると口腔内、皮膚、消化管、鼻腔などからの出血や下血が見られ最終的には死亡します。
致死率は非常に高く50%から90%とされています。

現在までにエボラ出血熱はアフリカを中心に10回程度流行しており、近年では2014年2月ごろから流行し西アフリカを中心に大流行し、 2014年11月19日までに15,415名が感染し、5,420名が死亡しました。
マールブルグ熱 Marburg hemorrhagic fever

マールブルグ熱とは出血熱の一つで、フィロウイルス科のマールブルグウイルスにより引き起こされる人獣共通感染症です。
『マールブルグ出血熱』『マールブルグ病』『ミドリザル出血熱』とも呼ばれています。

マールブルグ熱の特徴には3~10日の潜伏期間後、倦怠感、高熱、頭痛、嘔吐、下痢などの症状が発生し、 後に吐血や出血、暗赤色丘疹の発生が見られ、最終的には死に至ります。

マールブルグ熱はアフリカ中東南部を中心に10年に1度程度の割合で流行しています。
ラッサ熱 Lassa fever

ラッサ熱とはアレナウイルス科のラッサウイルスにより引き起こされる感染症です。
1969年にナイジェリアのラッサ村から最初の感染者が発生したことから「ラッサ熱」の名称が付けられました。

ラッサ熱の特徴には5~21日の潜伏期看護、発熱、頭痛等が見られ、出血、下血、粘膜出血などを引き起こし、 場合によっては脳炎や死に至る場合があり、回復後も聴覚障害や歩行障害などの知覚神経麻痺が残る場合が有ります。

ラッサ熱の致死率は1~2%で、抗ウイルス薬の『リバビリン』の投与が効果的な治療法となっています。
クリミア・コンゴ出血熱 Crimean-Congo hemorrhagic fever (CCHF)

クリミア・コンゴ出血熱とはブニヤウイルス科ナイロウイルス属のクリミア・コンゴ出血熱ウイルスにより引き起こされる感染症です。
ウイルスの然宿主はダニであり、このダニに噛まれたりダニに噛まれた動物の血液に触れることでウイルスに感染し発病します。

クリミア・コンゴ出血熱の特徴には3~12日の潜伏期間後、40度近い高熱、頭痛、筋肉痛、腹痛などが発生し、 感染後3~5日で書く粘膜に紫斑が出現し、肝臓や腎臓の機能にも影響が出て死に至ることがあります。
致死率は15~30%程度とされています。
ダニ媒介脳炎 Tick-borne encephalitis

ダニ媒介脳炎とは、フラビウイルス科フラビウイルス属のダニ媒介性脳炎ウイルス(Tick-borne encephalitis virus;TBEV)により 中枢神経系に症状を引き起こす感染症です。

ダニ媒介性脳炎ウイルスの自然宿主は齧歯類とマダニで、北欧からロシア西部に分布する『中部ヨーロッパ脳炎ウイルス』と、 ロシアのシベリア地域や極東地域に分布する『ロシア春夏脳炎ウイルス』の2種類が存在します。

『中部ヨーロッパ脳炎ウイルス』の症状はインフルエンザ同様の症状により発熱し、解熱数日後に痙攣や眩暈などの 中枢神経系症状を引き起こし、死亡率は1~5%、回復後の後遺症は35~60%の確立で発生します。

『ロシア春夏脳炎ウイルス』の症状は、発熱などの症状が最大期になると脳炎の症状が発生し、致死率は30%、 回復後も殆どの場合で身体の麻痺などの症状が残ります。

ダニ媒介性脳炎は現在も世界で毎年5000人から7000人が感染しているとされています。
オムスク出血熱 Omsk Hemorrhagic Fever

オムスク出血熱とは、フラビウイルス科フラビウイルス属のウイルスにより引き起こされる感染症で、 ロシアのオムスクで最初にウイルスが分離されたことでこの名前が付けられました。

オムスク出血熱はダニ媒介性ウイルスで、ダニやげっ歯類などを宿主としており、 ウイルスを持つダニに噛まれたり、ミズハタネズミやマスクラットなどのげっ歯類と接触することで感染します。

症状には3~9日の潜伏期間後、発熱、頭痛、咳などが現れ、場合によっては出血、 髄膜炎、腎機能障害、肺炎、気管支炎などを引き起こします。

致死率は0.5%~3%で、後遺症として難聴、脱毛、神経障害、精神障害が残る場合があります。
キャサヌール森林出血熱 『キャサヌル森林病』とも呼ばれ、フラビウイルス科フラビウイルス属のキャサヌル森林病ウイルスにより引き起こされる感染症です。

キャサヌール森林出血熱はダニ媒介性ウイルスで、マダニとげっ歯類を宿主としており、 ウイルスを持ったダニに噛まれたりげっ歯類に接触する事で感染します。

症状には3~12日の潜伏期看護、発熱、頭痛、消化器症状、出血などがあり、 出血性肺水腫、腎不全などを引き起こすことがあります。
また、解熱後1~3週間した際に再度発熱し、髄膜炎や脳症、精神障害などを引き起こす事も有ります。

致死率は3~5%で、後遺症が残ることはほぼ有りません。
チクングニヤ出血熱 『チクングニア出血熱』とも呼ばれ、トガウイルス科アルファウイルス属のチクングニアウイルスにより引き起こされる感染症です。

チクングニアウイルスはネッタイシマカやヒトスジシマカなどのヤブカにより媒介され、主にアフリカ、南アジア、東南アジアで発症が多く見られています。

チクングニヤ出血熱の症状には、発熱、関節痛、発疹などが見られ、場合によっては鼻血や歯肉出血、 脳症による神経障害、劇的肝炎などが引き起こされることもあります。
非致死性であるためチクングニヤ出血自体で死ぬことは有りませんが、発熱などによる衰弱で亡くなる場合があります。

チクングニヤ出血熱は定期的に流行し、数万人規模の感染者を出す事が有ります。
黄熱 yellow fever

黄熱は、フラビウイルス科に属する黄熱ウイルスにより引き起こされる感染症です。

媒体にはネッタイシマカ等の蚊で、ウイルスを持った蚊に刺される事で感染します。
黄熱ウイルスを持った蚊は熱帯アフリカと中南米に生息しており、黒色の嘔吐を起こす事から 現地では『黒吐病』と呼ばれることも有ります。

黄熱の症状には、3~6日間の潜伏後、発熱、頭痛、嘔吐などがあり、発症から3~4日で回復することもありますが、 重症化すると回復後数時間から2日程度で再発し、発熱、肝障害、鼻や口腔内からの出血、 黒色嘔吐、黄疸などを引き起こし、場合によって居は死に至ります。

黄熱の致死率は30~50%とされており、黄熱を研究していた野口英世も黄熱に感染し死亡しました。





デング熱 dengue fever

デング熱は、フラビウイルス科フラビウイルス属のデングウイルスにより引き起こされる感染症で、 ネッタイシマカやヒトスジシマカなどのヤブカ属の蚊が媒体となっています。

症状には発熱、頭痛、筋肉痛、皮膚への発疹があり、重症の場合には点状出血、鼻や口の粘膜からの出血、臓器障害や臓器からの出血 などの症状が起こる場合があります。
また、付随する症状としてウイルス性脳炎、臓器障害、脊髄炎、ギラン・バレー症候群などが引き起こされる場合があります。

通常は感染しても問題なく回復しますが、場合により重症化しその際治療を行わなかった場合の致死率は1~5%とされています。

世界では毎年5000万人から1億人が感染し1万2千5百人から2万5千人が死亡しており、 日本でも2014年8月から10月にかけて東京都の代々木公園などの公園に訪れた人が感染し問題となりました。
オニオニオン熱 O'Nyong Nyong

オニオニオン熱はトガウイルス科アルファウイルス属のウイルスによる感染症で、 『オニョンニョン熱』と呼ばれることも有ります。

主な媒体はハマダラカで、ウイルスを持った蚊に刺されることで感染します。

オニオニオン熱の症状には多発性関節炎、発疹、発熱があり、過去に2度大規模な流行を引き起こしたことがあります。
南米出血熱
南米出血熱 South American Hemorrhagic Fevers

南米出血熱とは『アルゼンチン出血熱』『ブラジル出血熱』『ベネズエラ出血熱』『ボリビア出血熱』『チャパレ出血熱』の総称です。

症状には発熱、筋肉痛、悪寒、嘔吐、下痢などが見られ、重症化すると歯肉縁からの出血、 皮下出血、粘膜の出血、痙攣、昏睡などを引き起こします。

各出血熱とも致死率は30%以上とされています。
アルゼンチン出血熱 Argentine haemorrhagic fever(AHF)

アルゼンチン出血熱とはアレナウイルス科のフニンウイルスにより引き起こされる感染症で、 媒体にはネズミなどのげっ歯類との接触や、げっ歯類の糞尿などとの接触などがあります。

症状には発熱、筋肉痛、悪寒、嘔吐などがあり、重症化すると体の様々な部位からの出血、 呼吸困難、意識の喪失などとなり場合によっては死に至ることもあります。

アルゼンチン出血熱は主にアルゼンチンのみで発生し、コルドバ州、サンタフェ州、ブエノスアイレス州で多くの感染者が確認されています。
ベネズエラ出血熱 Venezuelan Hemorrhagic Fever

ベネズエラ出血熱とはアレナウイルス科のガナリトウイルスより引き起こされる感染症で、 媒体にはネズミなどのげっ歯類との接触や、げっ歯類の糞尿などとの接触などがあります。

ベネズエラのみで発生する出血熱で過去に2回流行しています。
ブラジル出血熱 Brazilian Hemorrhagic Fever

ブラジル出血熱とはアレナウイルス科のサビアウイルスより引き起こされる感染症で、 媒体にはネズミなどのげっ歯類との接触や、げっ歯類の糞尿などとの接触などがあります。

1990年にブラジルのサンパウロで発生し、後にウイルス研究中の研究室内でも感染事故を引き起こしています。
ボリビア出血熱 Bolivia Hemorrhagic Fever

ボリビア出血熱とはアレナウイルス科のマチュポウイルスより引き起こされる感染症で、 媒体にはネズミなどのげっ歯類との接触や、げっ歯類の糞尿などとの接触などがあります。

チャパレ出血熱 Chapare hemorrhagic fever チャパレ出血熱とはアレナウイルス科のチャパレウイルスより引き起こされる感染症です。

ボリビアで発生した出血熱患者から新たに発見されたウイルスである『チャパレウイルス』が原因となっています。
ハンタウイルスによる出血熱
腎症候性出血熱 hemorrhagic fever with renal syndrome(HFRS)

腎症候性出血熱とはブニヤウイルス科ハンタウイルス属のウイルス感染を原因とする人獣共通感染症で、 ウイルスを持っているげっ歯類に接触することで感染します。

腎症候性出血熱の原因となるウイルスには『ハンターンウイルス』『ソウルウイルス』 『ドブラバウイルス』『タイランドウイルス』『プーマラウイルス』『アムールウイルス』『Soochongウイルス』 等があります。

腎症候性出血熱の症状には熱、頭痛、腎不全、皮下や臓器の出血などがあり、 主に中国の黒龍江省、山東省、浙江省、湖南省、河北省、湖北省などで多くの感染者が確認されています。
韓国出血熱 ブニヤウイルス科ハンタウイルス属により引き起こされる感染症で、韓国で発生するものを指します。

『韓国型出血熱』と呼ばれることも有ります。
出血性腎症腎炎 ブニヤウイルス科ハンタウイルス属により引き起こされる感染症で、ロシアで発生するものを指します。

『ロシア出血熱』と呼ばれることも有ります。
流行性出血熱 ブニヤウイルス科ハンタウイルス属により引き起こされる感染症で、中国で発生するものを指します。
流行性腎症 ブニヤウイルス科ハンタウイルス属により引き起こされる感染症で、スカンジナビア諸国で発生するものを指します。
梅田奇病 ブニヤウイルス科ハンタウイルス属により引き起こされる感染症で、 1960年ごろから約10年間大阪府の梅田地区で流行し119人が感染し2名が死亡しました。
 

 







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